あなたも和牛のプロフェッショナルへ! 流通を知り尽くす専門家集団・小島商店を大解剖!

今注目を集める和牛の業界で、独自のポジションを確立する小島商店グループ。飲食人としてのキャリアを真剣に考える皆さんに、ペコリッチ+編集部がぜひ提案したい職場です。社長の小島大道さんに話を伺い、歴史とこだわり、哲学から、同社で働く魅力をひも解きます!

農家と直接つながり成長した食肉卸

小島商店は、今から90年前の1933年、子牛専門の食肉卸としてはじまりました。卸売りといっても、現在のような食肉流通の制度が整っていない時代。流通の上流にあって、農家から牛を引き取り、屠畜から行うような仕事をしていました。創業者の小島盛治氏は、千葉から子牛をバイクに乗せて、東京まで連れてきていたそうです。

戦争を経て、高度成長期になると、西洋の文化がどんどん日本に持ち込まれます。西洋料理を提供するホテルやレストランが増えると、イタリアンやフレンチに欠かせない子牛の需要が高まりました。
このころには、衛生上の問題から食肉処理が市場で一括して行われるようになり、同社は仲卸として競りに立ち、二次問屋への卸で事業を拡大しました。

さらに肉食の文化が定着すると、希少価値の和牛を扱うようになりました。現在では、卸売だけでなく、銀座三越と新宿の伊勢丹本店で小売りの精肉店、品川、大宮、渋谷で弁当店、東京駅のグランスタ東京でステーキ店を運営しています。

現社長の小島大道さんは、「私たちは農家さんが大切に育てた牛を、お客様に届ける橋渡し的な役割。農家さんがいなければ、仕事は成り立ちません。農家さんと近い立場で仕事をすることを大切にしています」と語ります。農家から直接買い付け、いちから食肉に加工してきた歴史は同社の貴重な資産。「農家の想いまで届ける卸」が同社のモットーです。

 

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農家とともに作り上げた「雪降り和牛」ブランド

小島商店と農家との関係をよく表しているのが、山形県尾花沢市とともに作り上げた「雪降り和牛」のブランドです。

山形県には、「総称山形牛」とされるブランドがあります。山形県でもっとも長く育てられ、かつ最終飼養地が山形県内である出産を経験してないメス産、、または去勢の黒毛和種で、3等級以上の肉牛が該当します。
尾花沢市の農家が育てた和牛は、「尾花沢牛」であると同時に「山形牛」でもあります。そして、東京をはじめ消費地では「山形牛」のブランドで流通していました。

いっぽうで同じ県内でも、米沢市の和牛は「山形牛」ではなく、すでにブランドが確立された「米沢牛」として流通します。東北有数の和牛肥育地である尾花沢市の人たちが、より強く地元産の和牛をアピールしたい、と考えるのは当然です。

そこで、尾花沢市と大手広告代理店の電通、市の打診を受けた小島商店がタッグを組み、地元産和牛のブランド化プロジェクトが立ち上がりました。

生産者とのつながりを重視する小島商店は、これまでも尾花沢市を頻繁に訪れ、農家と密なコミュニケーションをとっていました。小島社長たちは、出産を経験していないメス、970日以上の長い肥育日数(通常は27カ月程度〜)という、山形牛よりさらに厳格な規格を設け、尾花沢さんの和牛の付加価値を高めます。
いっぽうで、生産者によってばらつきのある肥育法には、統一する縛りを設けませんでした。当時、「りんご和牛」など、えさで和牛をブランド化するトレンドがあり、「尾花沢の名産であるスイカを与える」といったアイデアも挙がったそうですが、あくまで農家の個性と地元の和牛肥育の文化を尊重したのです。

はじめは市場に受け入れられませんでしたが、市のPRと小島商店たちの草の根の活動で、尾花沢の和牛のおいしさは徐々に理解されていきました。今では、「山形牛」ではなく「雪降り和牛」として、人気のブランドに成長しています。

このような農家とのつながりを、身を持って知ることができるのは、小島商店で働く大きなメリットです。従業員たちは定期的に山形を訪れて、畜産研究所を視察したり、尾花沢の農家と直に話して、「なぜ和牛がおいしくなるのか」を体感する社内研修に参加しています。

和牛のプロフェッショナルであること

生産者だけでなく、消費側と向き合うのも、小島商店の大きな役割です。同社が考える和牛のプロフェッショナルとはどんなものか? 小島社長のお話から考えてみました。

流通の上流から下流まで熟知している

再三お伝えしているように、農家との強固なパイプを持ち、生産現場をよく知るのは同社の強み。
いっぽう消費側では、市場で競りに立ち、さらに問屋や飲食店への卸から、生活者への小売り、さらに飲食店まで、多彩な販売チャネルを持っているのが特徴。仕入れた枝肉を、販売先に応じて、社内で適切にカットするのも重要な工程です。

小島商店は、和牛の流通の上流から下流まで、当事者として関わっています。愛情を込めて牛を育てる農家とも、美味しいお肉の提供にこだわる飲食店とも違った形のプロフェッショナルと言えます。ときに大きな視野で流通の全体像を見渡し、ときに直にお肉に触れて和牛と向き合っているのです。

よきプロデューサーである

そんなプロフェッショナルに求められるのは、大切に育てられた和牛の「適材適所」です。

例えば、問屋と精肉店では、卸したお肉が食べられるまでの時間が異なるので、配慮したお肉の扱いが必要です。冷めても美味しく食べたいお弁当と、調理後にすぐ食べられるレストランでは、適切なお肉は異なります。高級焼き肉店でも、全国の和牛を扱っているのか、雪降り和牛専門店か、コンセプトによってお店への提案を変えなくてはなりません。

仲卸というと、肉質を見極める「目利き」の職人技が思い浮かびます。もちろん、極めて重要な技術ですが、必要なのはそれだけではありません。本当の適材適所には、相手のニーズを総合的に判断して提案できる、幅広いプロデュース力が重要です。

自分たちの役割を追求する

小島社長によれば、和牛の生産現場は大規模化する傾向が強いといいます。大手の食品会社は、契約農場と提携したり、自社で農場を作っています。早く、大きく、たくさんの和牛を育て、生産を効率化しているのです。

しかし、小島社長は「その反対を行ったから生き残ることができた」と振り返ります。前述の「雪降り和牛」のように、肥育に長い期間をかけるのは、農家として必ずしも効率的な経営ではありません。しかし、その分の付加価値を認め、市場にも認めてもらう努力をしてきたからこそ、同社は業界内でも独自のポジションを守ることができます。

効率化と付加価値の追求は、「良し悪しの問題ではない」と小島社長は強調します。自分たちの強みを知り、求められる役割を理解することが、プロフェッショナルの条件だとわかります。

小島食品で得られること

小島商店には、仕入れ、営業、販売、調理人から接客まで、さまざまな職種があります。それぞれのセクションで、和牛のプロフェッショナルに学び、プロを目指して経験を積めるのが魅力です。
「異なるやりがいを持って働く人が、それぞれ輝ける舞台を作るのが会社の役目(小島社長)」というように、前述の研修制度や、資格取得の支援と昇給制度も整えています。

世界的にも人気の高い和牛は、今後ますます専門的なスキルが求められる前途有望な分野。「和牛のマーケットは世界に広がる。流通のすべてを知る当社で真剣に働けば、本物の和牛を語れるようになる」と胸を張る小島社長。長い目でみて、飲食人の貴重なキャリアを手に入れられる職場です。

 

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