キャリアデザインの考え方とは? アウトプットする方法と事例まで

世の中が変わり従来の日本型の雇用モデルが機能しなくなった現在、自身のキャリアについて考え直すことが重要になっています。

その流れの中でキャリアの構築に役立つ「キャリアデザイン」の考え方をご存知でしょうか。この記事ではキャリアデザインの考え方を、人材サービスを手掛けるペコリッチがわかりやすく紹介します。

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「キャリアデザインとは?」を考える

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「キャリアデザイン」とは、自分の職業人生を自らの手で主体的に構想・設計=デザインすることです。自分の経験やスキル、性格、ライフスタイルなどを考慮した上で、実際の労働市場の状況なども勘案しながら、仕事を通じて実現したい将来像やそれに近づくプロセスを明確にすることが、キャリアデザインの要諦です。

出典:日本の人事部(コトバンク)

ポイントは「デザイン=構想・設計」というキーワード。キャリアデザインは、ただ「将来のことを考える」「職業や就職先を決める」とは違ったニュアンスがあります。

例えば建設での「設計」では、建物の敷地、材料や構造を、具体的に定める行為です。設計は、予算や工法を考慮して構成する必要があります。また、設計図などに落とし込んでアウトプットすることが重要です。

敷地や材料、構造をキャリアに置き換えれば、その人が持つ経験、スキル、性格、ライフスタイル、さらに家族やお金(詳細後述)などが、仕事と人生を構成する要素として挙げられるでしょう。
これらを総合的に分析して、具体的な行動(毎日の振る舞いや身につけるスキル、就職や転職など)に落とし込めるレベルまで、プロセスをアウトプットする必要があります。

大事なことは、建設にどこへ、何のために、どんな建物を建てるか、という事業の目的/課題があるのと同様に、個人のキャリアにも目指すゴールがあること。「1年後に営業チームでトップの成績をとる」「5年後にグローバルで活躍する人材になる」「10年後に飲食業界を盛り上げるオンリーワンのサービスをつくる」と、期間や抽象度は自由に設定して構いません。ただし言語化し、そこに至るプロセスを明確にすることが大切です。

また、ゴールとそれに紐づくキャリアデザインは、年月とともに変化、更新するもので、一生持ち続けるものです。

キャリアデザインを記す資料は「キャリアデザインシート」と呼ばれますが、形式に決まりはありません。考え方を理解する上で、大谷翔平選手が活用したことで話題になった「マンダラチャート」は、とてもよい参考になります。

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最終目標に向かって、達成するために必要な能力や条件、そのための日々のアクションを、まさに設計図のように構造的にアウトプットすることができます。

●参考「設計」とは

①ある目的を具体化する作業。製作・工事などに当たり、工費・敷地・材料および構造上の諸点などの計画を立て図面その他の方式で明示すること。「ビルの―」
②比喩的に、人生や生活について計画を立てること。

広辞苑第七版

キャリアデザインのメリット・デメリット

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キャリアデザインとは、先行きが不透明な現代で、主体的にキャリアプランを考え行動可能なレベルに落とし込めるまで人生の戦略を設計することです。

プランを立てることで自身のスキルアップにつながり活躍の場を広げるきっかけになります。

キャリアデザインを考えるメリット

キャリアデザインが重視される背景には、終身雇用制度の終わりと働き方の変化があります。

戦後に生まれた終身雇用や年功序列といった制度は、新卒の人材を大量に採用し長期的なスパンで育成することを前提に生み出されたものですが、現在はその存続が難しい状況です。

企業に勤め続ければエスカレーター式に給料が上がり続けることがなくなり、ひとつの会社を軸に人生のプランを考えることが難しくなりました。

終身雇用を前提とした人生設計の仕方ではなく、自身の能力を活かし個人としてのキャリアを考え、ライフイベントに合わせた人生設計の方法が必要になっています。

そんななかで、会社や社会のレールに乗るのではなく、自分らしい生き方を見いだせるのが、キャリアデザインを考える意義でありメリットです。
詳しくは後述しますが、キャリアデザインを考える過程では、プライベートを含めて自分自身を見つめ直します。公私の両面で、自分は何がしたいのか/なりたい自分(Will)、得意なこと/できることは何か(Can)、するべきことは何か(Must)を理解することで、明確にやるべきことが見えてきます。

スキルアップのための学習や資格の取得にもつながります。現職でいままで以上に活躍できる場面が増えたり、なりたい自分に向けて戦略的に転職を考えられるようになります。

キャリアデザインを考えるデメリット

個人が将来を真剣に考え、戦略的に構築することにデメリットはありません。あるとすれば、企業側のデメリットです。

社員が主体的にキャリアデザインしていくことで、離職につながる可能性は否めません。

しかし、積極的に社員のキャリアデザインを支援する企業も増えています。会社が人材を囲い込むのではなく、自立できる人材を育て、流動させる

キャリアデザインを考える3つの視点

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キャリアデザインを具体的に進めていく前に、まずは考えるうえで重要な3つのポイントを挙げておきます。ひとつめは「仕事・家庭・お金」の軸です。

「仕事・家庭・お金」の軸で考える

「キャリアの本質とは何か」をさかのぼってみましょう。キャリアとは、職業上の経歴や経験を指す言葉です。いっぽうで、私たちは仕事や会社で営業や経理の担当者、あるいは課長や経営者であるのと同様に、家庭に戻れば、父親、母親、子どもといった別の役割を果たしています。納税したり、政治に参加したり、秩序を守ったりと、市民社会の一員としての役割もあるでしょう。

そして、それぞれの役割は密接に関連しあっています。家庭がギクシャクしていれば仕事にも差し障りがありますし、仕事がうまくいかなければ家庭生活にも影響します。キャリアの本質は、仕事とプライベートを切り離しては考えられません。

もうひとつ、キャリアデザインの重要な要素が「お金」です。

仕事をする上でも、家庭を運営していく上でも、お金は重要な要素です。終身雇用の制度下では、年齢とともにある程度収入も上がっていきました。しかし、現代が転職も含めて主体的にキャリアアップしていく社会だとすれば、以前のように順調に収入が上がることはありません。
自分のキャリアと将来の収支を見通し、場合によっては資産運用も含め、戦略的に家計を計画する必要があります。

ポータブルスキルを洗い出す

ポータブルスキルとは、企業や業種が変わっても「持ち出し可能な」能力のことです。例えば、物事を論理的に考える能力や、人を動かすプレゼンテーションができる能力は、どんな環境でも、もしかしたら違う国に行っても強みになります。
ポータブルスキルの例

・論理的思考力
・批判的思考力
・普遍的な教養
・プレゼン能力
・交渉力
・問題解決能力
・分析力
・課題解決力
こうした汎用的な能力が、ポータブルスキルであり、いわばビジネスの「地力」とも呼べるもの。デジタル化が進む社会では、時代により求められるスキルが目まぐるしく変わるので、環境に柔軟に対応できるポータブルスキルは大きな武器となります。

自分には持っていないと考えてしまうかもしれませんが、誰しも基本的な強みは持っているものです。過去をじっくり振り返って、今後のキャリアで自分を助けてくれるポータブルスキルを理解しておくことが大切です。

自分の行動特性を言語化する

行動特性とは、「個人が持つ行動原理やその背景となる考え方」を指します。どんな仕事にやりがいを感じたか、どんな仕事が好き/嫌いなのか、といった過去への振り返りから、自分の特性を分析することができます。

嫌な仕事、力を発揮できない仕事は続けられませんから、行動特性を明確に理解しておくことが、キャリアの設計においては重要です。
あえて、行動特性を挙げるのは、キャリアを考える上で自分の性格や価値観をないがしろにしがちだから。次の「キャリアデザインをアウトプットする」フェーズをみれば、その重要性が理解していただけるはずです。

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いよいよ、キャリアデザインを具体的に組み立てていきます。前述の通り、キャリアデザインは言語化して記録することが大切で、その形式に決まりはありません。

1.過去を振り返り現在の自分を知る

職業上のスキルと経験、そして行動特性を棚卸しして言語化します。今の自分は本質的に何ができるか、詳細に分解して理解することが大切です。
例えば、料理人には「包丁で魚をさばく」というスキルがあります。大雑把にとらえれば、料理人なら誰でもできる作業ですが、ふぐやうなぎなど特殊な魚がさばけたり、より高い価値を提供するために人がやらない工夫をしてきたのなら、それは差別化されたスキルとなります。
仕事にかける思いや、やりがいを感じるポイントなども含まれるので、経験と客観的なスキルに加え、行動特性が重要になります。

また、プライベートにおいても、どんな状態のとき自分が喜ぶのか、家族が幸せなのか、過去を振り返って整理します。

2.未来の理想像を描く

過去の自分を振り返れば、今の自分に何ができるかが明らかになります。そのうえで、本当に自分は何がしたいのか、3年後、5年後、10年後にどうなっていたいのかを、できるだけ具体的に考えていきます。いきなり大きな理想を描くのではなく、近い将来から、段階的に構想するとやりやすいでしょう。

目標や理想を決められない、という人も多いでしょう。そんなときにも、頼りになるのが行動特性の振り返りです。自分はどんな仕事をしているとき、どんな状態の時に幸せや喜びを感じていたでしょうか? できるだけ細かく分析して、言葉にしてみてください。今までのキャリアの延長線上に、あるいはまったくステージで、理想像が見えてくるはずです。

例えば、レストランのホールで働く人が、お客様が美味しそうに食べている顔を見るのが好き、だとしたら、より自分が主体的に料理に関われるシェフを目指すのが、キャリアのよい選択肢になるかもしれません。
家族との時間を大切にしている人なら、より自由に勤務時間をコントロールできる自営業などで、確実に収入を得ている状態を、目標にするのもよいでしょう。

3.ギャップを埋めるアクションを書き出す

現在の自分にできることと、未来の理想像にはギャップがあります。これを埋めるにはどうすればよいか、をできるかぎり具体的に考えるのが、キャリアデザインの最終工程です。

大谷翔平選手は高校1年生のとき、「ドラ1 8球団(プロ野球8チームからドラフト1位氏名を受ける」を目標に設定しました。そのためには、例えば時速160kmの剛速球が必要であり、球速を上げるためには、肩の強化や体重の増加、といったスキルアップが必要です。
推察するに、彼は現状の自分にできることを分析し、ギャップを埋めるためのトレーニングを日々行っていったはずです。

このように、できれば毎日の単位で、具体的なアクションにつながる設計図をつくるのが理想です。
マンダラチャート以外にも、キャリアデザインのプロセスが考え出されています。下記を参考に、ご自身のキャリアデザインに挑戦してみてください。
「キャリアデザイン」の考え方〜大学4年間の過ごし方が将来を左右する
https://campus.doda.jp/career/life/000061.html
神奈川県:大学向けライフキャリア教育支援
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/47546/00.pdf

まとめ

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キャリアデザインは現代のビジネスパーソンにとって、極めて重要な考え方だということがおわかりいただけたと思います。

大切なのは、自分のキャリアを主体的に考えて、行動可能なレベルに落とし込めるまで人生の戦略を設計すること。
そのために、過去を振り返って今の自分を知り、さらに将来なりたい自分や望む人生をとのギャップを埋めていきます。

飲食店や食に関わるお仕事もコロナや環境保全の意識の高まりにより、今までと異なるキャリアの考え方やあり方が多様化していくことが予想されます。この記事を参考にキャリアデザインについて、考えてみてはいかがでしょうか?

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